マイナンバーの危険は3年後一気に高まる

では、我々は求められるままに(必要であれば)個人番号を提供すべきなのか。そんなことはない。前出の税務署職員は「預貯金口座への番号登録だけは警戒したほうがいい」と語る。

個人番号と預貯金口座との紐付けは、2018年から開始される。今のところ番号登録は任意だが、政府は21年を目処に義務化を検討している。つまり、個人番号の登録をしないと、新規口座を作ることも、既存の口座を利用することもできなくなるということだ。

「これは完全に税収を増やすための政府の方針といっていいでしょう。口座のお金の流れさえわかれば、『全貌が把握できない』という理由から贈与税や相続税を取りはぐれることもなくなりますし、不正な入出金も捕捉できる。今のところ、誰であっても理由なく個人情報を見ることはできないので『国に口座を監視される!』とまで思いつめる必要はありません。でも、いざ『怪しいな』と目をつけられれば、脱税の証拠が見つかりやすくなるのです」

とはいえ、一般的な会社員は脱税などとはほぼ無縁だ。それでも前出の税務署職員は、「私なら預貯金口座への個人番号の登録は、任意のうちはしません。義務化されるギリギリのところまで保留にして、様子を見る」と言う。

口座内のお金の流れは、誰にとっても「個人情報の中でも特に知られたくない重要な情報」であろう。それを政府がどのように利用するつもりなのか、本当にセキュリティに問題はないのか、できる限り長い期間見守るのが、もっとも有効な自衛策になるというのだ。

「任意であっても、新規口座を開設する際に『個人番号を要求されて断った』となれば、その記録が残ります。今後必要になる可能性があるなら、確実に個人番号を要求されない年内に新規の預貯金口座をいくつか開設しておくといいですよ」(前出の税務署職員)

(時事通信フォト=写真)
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