欧米系とアジア系で分かれる人気エリア

ここで、ゴールデンルートの東の玄関口に当たり、20年の五輪開催を控える東京のホテル業界の動向に目を転じたい。まず、話題になっているのが外資系ラグジュアリーチェーンの展開で、14年6月に虎ノ門ヒルズにハイアット・ホテルズ・コーポレーションが「アンダーズ東京」を、同年12月には大手町タワーにアマンリゾーツが

「アマン東京」を開業した。いずれも、日本初進出の高級ブランドである。

結果、05~07年にかけて勃発した“第2次ホテル戦争”に続く“第3次ホテル戦争”を仕掛けられた形の国内シティホテルでは、老舗のホテルオークラ東京が本館の全面改装を行い、19年に再開業する計画だ。また、星野リゾートが16年に大手町で、「日本旅館」のコンセプトを掲げる「星のや東京」の開業を予定する。同社の佐藤大介マーケティング総括は「国際的な高級ホテルと同列の価値を発信する潜在力が日本旅館にはあります」と語り、「玄関で靴を脱ぐくつろぎ」をどう伝えるのか、注目されている。

しかし、それら外資系の特徴の一つは、高品質のサービスを提供するために客室数を絞り込んでいること。アマン東京はわずか84室だ。急増する訪日外国人の客室不足の解消にはつながらない。それに彼らのボリュームゾーンを占めるのはミドルクラスで、国内シティホテルの客層とも違う。


東京都心部の国別人気宿泊エリアマップ

実は、そのミドルクラスの市場動向にいま最も精通しているのが、ホテル予約サイトなのだ。ホテルファインや来山北館の例を見てもわかるように、ミドルクラスの大半は予約サイト経由。とりわけ06年11月に日本法人を開設したエクスペディアは、米国発の世界最大のオンライン旅行会社。日本参入の狙いは日本人の海外旅行市場だったが、「ここ数年、海外からの国内ホテル予約が増えています」と話しながら木村奈津子マーケティングディレクターが、面白いデータを見せてくれた。

それが「東京都心部の国別人気宿泊エリアマップ」(図参照)。東京の南半分(東京駅周辺、銀座、赤坂、渋谷)は欧米客に人気で、北半分(新宿、池袋、上野、浅草)はアジア客に人気がある。お国が違えば、好みのエリアも違ってくるらしい。しかし、国を問わず最も人気のあるのが新宿なのだ。

また、エクスペディアは14年に自社サイト経由で外国人旅行客の予約件数が多かった宿泊施設を、「ホテル」部門と「ホステル・ゲストハウス・旅館」部門に分けてランキングした。すると、前者で「ホテルサンルートプラザ新宿」が、後者でも「新宿区役所前カプセルホテル」が1位になった。

(熊谷武二、加々美義人、南雲一男=撮影)
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