一番「お得」なお酒はどれ?

お酒が好きな方のために、最後に少し下世話な話をしてみましょう。お酒にも色々ありますが、当然ながら店にとってはそれぞれ利益率が異なります。では飲食店にとって利益率の悪いアルコール飲料、裏を返せばお客にとって「お得」なものはどれでしょうか?

売価の設定にもよりますが、ビール、ワイン、日本酒がそれに該当します。いずれも原価率で30%程度はかかっています。最近ではワインを低価格で提供するバルのような業態も増えていますが、そういう店の場合はワインに4割程度の原価をかける場合もあります。

逆に原価率の低いものと言えば、ハイボールやサワーなどが挙げられます。例えば、飲食店が酒販店からサントリーの「角」を仕入れる場合、ハイボール1杯分のウイスキーは50円程度です。これに炭酸や氷を入れても合計100円にもなりません。これを400円や500円で売れば、とても利幅の大きい商品となるのです。サワーにいたっては、4リットルペットボトルで売られているような甲類焼酎を使うことが多いですから、その原価たるや推して知るべし、という感じです。

というわけで、飲み放題メニューの中にビールがあったら、それを飲み続けるのが実は一番「元が取れる」のです。ただし、くれぐれも飲み過ぎと痛風には気をつけてくださいね。

[脚注・参考資料]
※1:新生銀行「サラリーマン小遣い調査」より
※2:食の安全安心財団より
※3:日本百貨店協会より
※4:日本フランチャイズチェーン協会より
※5:日本レジャー白書より

子安大輔(こやす・だいすけ)●カゲン取締役、飲食コンサルタント。1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。
株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

関連記事
ぼったくられないための「モノの原価」大辞典
なぜ外食不況のなかで「回転寿司」だけが急増するのか
なぜ居酒屋ランチは味やボリュームのわりに安いのか
売れる「高収益マグロ丼」を企画するには
特に贅沢してない“つもり”「ビール、外食、デパート志向」が招くメタボ家計