営業でもプレゼンでも同じだが、あまり成果を上げられない人、苦手な人は、トークで一生懸命説明したり、スライドをつくっても文章が長かったりする。デキる人はグラフを1つ出して、「要はこういうことです」と端的に説明する。結果、仕事の生産性もよい。

実際、2つの図は同じ内容だ。しかし、左図だけを見せられて相関関係の強さを説明されても、ピンとこない。右図があれば、すぐに理解できる。ちょっとした配慮で、伝わり方は大きく違ってくるのだ。さらに、グラフにはリスク低減の効果もある。ビジネスパーソン、特にマネジャークラスの人が何か判断を下すとき、グラフで視覚化したものを判断材料にしたほうが失敗の可能性は低くなる。

ちなみに、相関関係のグラフを見せるときに、「相関係数」も一緒に示すことで、説得力はより増す。相関係数などというと、なんだか難しく感じるかもしれないが、エクセルで「CORREL」のコマンドを使えば10秒もかからずに計算できる。数字が「1」に近づくほど正の相関が強く、「-1」に近いほど負の相関が強い。明確な基準はないが、0.7くらいあると強い正の相関があるといえる。今回の場合、相関係数は0.89あり、非常に強い正の相関関係があると判断できる。

ただし、相関係数はエッセンス的に使うのがいいだろう。数字ばかり示すと、逆に難しく感じたり、わかりにくい場合もある。「念のために数学的な裏づけもあります」という程度がちょうどよい。相関係数を示すことで説得力が増すうえ、仕事のデキる人間という印象を与えられるだろう。

2つの関係性を読み解くときに、必ずしも散布図をつくる必要はない。すばやくできるので、そういう視点も持っておけばいいのだ。ぜひ習慣にしていただきたい。

(構成=田之上 信)
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