正社員と非正規の月給格差は11万円

正社員と非正規社員の「均等・均衡処遇」や「同一労働同一賃金」が叫ばれて久しいが、本当に実現できるのか、現実を見る限り道のりは遠い。

今や非正規社員は1877万人。雇用者総数全体の比率は37.5%(総務省労働力調査2014年速報)。そのうちパート(短時間労働者)が1344万人と圧倒的多数を占める。

正社員と同じフルタイムの非正規と比べても賃金格差は大きい。2014年の正社員の平均月給は31万7700円。非正規社員は20万300円。10万円以上の開きがある。

じつは非正規パートを多く抱える大手の流通業などは正社員との「均等・均衡処遇」を標榜している。確かに65歳雇用の実現や育児・介護支援制度、慶弔休暇、時間外割増率、福利厚生については正社員と同じ水準にしている。しかし、こと賃金に関しては「同一労働同一賃金」になっていない。

それに関しては「転居を伴う転勤」のある正社員とそれがない非正規との一定の処遇格差の存在を容認した「均衡処遇の実現」にとどまっているからだ。

つまり、正社員は全国転勤や海外勤務もしなければならず、地域限定の非正規社員との間に賃金格差があってもそれはしょうがないという考えだ。

極端に言えば、同じ職場で同じ仕事をしている正社員と非正規社員がいたとしても給与は違って当たり前というものだが、その説明で納得できる非正規社員がどれだけいるだろうか。

同一労働同一賃金は正確に言えば「同一労働価値同一賃金」だ。同じ仕事をしていて同じ成果を出せば給与は一緒にすべきという考えだ。短時間パートの多いオランダなどヨーロッパ諸国ではこの考えに基づいた賃金の平等に取り組んでいる。

日本でも本来であれば、現在担っている職務価値に基づいて公正な賃金を支払う同一価値労働同一賃金を志向すべきだろう。