また、会社が自分の実力を理解してくれず、もっと正当に評価してくれる会社に移りたいという人もいます。たとえば、女性の営業職にありがちなのが、たまたま美人だったり愛嬌があったりして、若さだけを武器に入社1年目からトップクラスの成績になったというケース。このような場合、基本的なビジネスマナーや営業のテクニックなど、本来、必要な所作を身につけずに30歳前後まできてしまうことがあります。本当は上司に話を通しておかねばならないところも平気で端折ってしまったりする。本人もプライドが高くなっているので、周囲も下手に注意できなくなっています。しかし、本来の実力は伴っていないため、年齢が上がるにつれて業績が挙げられなくなり、本人だけがその理由を理解できないということになってしまう。そうこうするうちに若い人が増えていづらくなり、転職を考えることになるんです。
こういった方がよその会社で活躍できるということはまずないでしょう。あるとすれば会社のランクを落としたために、相対的に高く評価されるようになった場合などですが、給料や条件が下がることは避けられないはずです。過大な自己評価は、かえって自分を苦しめるもの。もし客観的な評価が知りたい場合は、実際に動くかどうかは別として、とりあえず転職エージェントなどに登録してみるのも一案です。
男女ともに、28歳くらいで転職市場は狭まってきます。30歳くらいならまだ動ける可能性はあるものの、さらに厳しくなり、35歳をすぎると相当難しくなるのが現実。結婚や出産での安定を考えるなら、なおさら、安易に今の会社を辞めないほうがいいというのが私からのアドバイスです。
高野秀敏(たかの・ひでとし)
1976年、宮城県生まれ。東北大学卒業後、大手人材紹介会社インテリジェンスを経てキープレイヤーズ設立。著書に『転職の技術』など。