いい意味でのあつれき
【若新】齋藤さんと初めてお会いしたのは、2012年のデコボコラボ(現在のアウトロー採用)でしたね。改めてうかがいますが、なぜ僕たちのプログラムに参加しようと思ったのですか?
【齋藤】ソノリテは設立5年のIT会社で、主にクライアントへのSE派遣を行っています。3年前に僕が社長を引き継ぎました。当時は社員が10名にも満たない会社で、採用をどうしようか悩んでいたんです。一般的な採用ナビに出稿しても埋もれてしまうだろうし、こんな零細企業が「私たちはこんなIT企業です」と言っても、誰も見向きもしないだろうなと。それに、私も割と大きな企業を辞めてこの会社の社長になったので、面白いことをやりたかった。
そんなとき、ツイッターでデコボコラボを知りました。儀礼的な就活ではない新しい就活サービスを始めるという説明を聞いて、「探していたのはこれだ!」と飛びつきました。
【若新】プログラムを提供し始めた当初は、この取り組み自体がマニアックだったようで、企業の採用担当者に理解してもらうのに時間がかかりました。採用に至っても、「やっぱりイメージと違った」と言われたこともあります。そのようななか、齋藤さんが僕たちのプログラムに興味を持ってくれて、前向きに取り組んでくれたのはとてもうれしかった。
反面、齋藤さんが誰も採用できなかったらどうしよう、と不安もありました。でもその心配は杞憂でしたね。企業と参加者が対話すればするほど、いい結果が生まれることを、齋藤さんたちが証明してくれました。
【齋藤】デコボコラボでは9人採用、その後の就活アウトロー採用・ナルシスト採用では、2015年1月現在で2名採用、3名に内定を出しています。まだ対話を続けている参加者もいて、おそらくあと2~5名は当社で採用すると思います。
【若新】そんな勢いで採用していると、オフィスがすぐ手狭になってしまいますね。
【齋藤】拡大志向でどんどん増やしていきたいと思っています。現在は社員数40名ほどですが、いずれ100名を超えたいですね。
【若新】40人のうち10名以上となると、一大派閥ですね。社内で変化はありましたか?
【齋藤】新しい社員と既存の社員との間で、いい意味でのあつれきが生まれています。まさに狙いどおりです。アウトロー採用で入社する人たちに期待するのは、彼らが会社に与える刺激や影響です。それが破壊的であればあるほどうれしいし、意味があると思っています。普通の就活に違和感を持っていた彼らが、既存の社員にどんな刺激を与えてくれるのか。また既存の社員も、自分の常識とは異なる彼らの感覚に触れてどう感じるのか。とても興味があります。
もし、両者が衝突することでネガティブな方向に行きそうになっても、それをプラスの方向へ軌道修正するのがマネジメントの仕事です。何も起こらないのが、一番つまらないですからね。(次回へつづく)