「ナルシスト採用」で女装コスプレ趣味の男子学生に内定を出したITベンチャー・ソノリテは、一般的な就活に違和感を持つ若者を対象とする「就活アウトロー採用」でも多くの若者を採用してきた。コスプレ男子内定の真相に迫った前編(http://president.jp/articles/-/14429を参照)に続き、後編では、就活アウトロー採用によって社内に起きた組織の変化について、ソノリテ・齋藤和政社長に聞いた。

月に一度、“何をやってもいい日”

ソノリテ社内にて。

【若新】就活アウトロー採用で入社する人たちには、会社に刺激や影響を与えてくれることを望んでいたという話でしたが、実際にどのような変化がありましたか。

【齋藤】既存の社員がいい意味で焦っています。SEの仕事は忍耐を必要とするところがあり、それに我慢強く真面目に取り組む社員がこれまでは大多数でした。一方で、アウトロー採用で入社した新しい社員は、従来の就活のやり方に違和感や疑問を持つような若者たちなので、疑問に思うことは口にするし、自分が納得できないことはやりたくない。もちろん、やらなきゃいけないと自分で思ったことは責任を持ってやり遂げてくれます。

新しい社員が言いたいことを言い、既存の社員がそれまで常識だと思ってきた考え方や仕事のやり方がどんどん覆されています。ただ、既存の社員も頭が硬直した人たちではないので、少しずつ変わってきていますよ。

【若新】具体的にはどんなふうに変わってきているのですか。

【齋藤】社内でいろんな意見が出るようになりました。それらが新しい社内制度や取り組みにつながっています。例えば当社には、「Make My Day制度」といって、月に一度、何をやってもいい日があります。ルールは2つで、(1)一日中寝ているのはダメ、(2)何をやったのかを社内ブログで報告すること。この2つを守れば、出社せずに、どこで何をやってもいいことになっています。

これはアウトロー採用の社員の発案ですが、既存の社員からは「そんなことやって売り上げが下がったらどうするんだ」とか、「お客さんに迷惑がかかるんじゃないか」という反対意見がでました。社内で議論した結果、自分たちの創造性を高めるためにやろう、と制度化しました。

また、最近は、ニコニコ生放送を始めました。駆け出しの芸人さんを連れて来てニコ生で紹介するというもので、これも社員同士でやりたいことを話し合うなかで生まれた企画です。これをやったからといってすぐに利益につながるわけではなく、面白そうだから始めましたが、システムのプログラマーだった既存の社員が「僕がプロデュースします」と手を挙げたのは意外でした。任せてみると、ニコ生にすごく詳しいんです。本当はこれがやりたかったんじゃないの、と思うくらい(笑)。

「好きなことをやっていい」という環境を与えたことで、仕事で見せる能力のほかにいろんな才能や興味関心、得意分野が開花しています。だったらこんな仕事を任せてみようか、と私としては考えたりもします。これらは新しい変化ですね。