4. 開き直る
……土壇場で下す「決断」

お客をあっといわせるアイデアは、「開き直り」の中から生まれてくることが多い。完璧に練り上げられたプランよりも、いろいろ欠点があっても目をつぶって推し進めたもののほうが、エッジが利いていてお客の心に深く刺さるのだ。

開き直ったアイデアを出すには、徹底したブレーンストーミングが有効だ。ブレストで参加者にアイデア出しを迫っても、最初は批判を恐れて無難なものしか出てこない。しかし、数時間かけて粘り強くブレストすると、しだいに頭が煮詰まってきて「ダメで元々だけど、いっそのことこんな売り方をしてみればどうですか」と突拍子もないアイデアが出てくることがある。こういうアイデアが本質を突いていることが多い。

アイデアを採用する側も、土壇場まで追い込まれたほうが思い切った決断ができる。余裕があるときはアイデアの欠点ばかりに目がいくが、時間的に追い込まれてくると、多少のリスクがあってもやるしかないという覚悟ができる。腹をくくれば企画の実行にもドライブがかかり、うまくいく確率も高まるだろう。

ブレストのコツをもう一つ紹介しよう。ブレストの質は、メンバーで大きく左右される。毎日顔を突きあわせている社内メンバーは発想が似通っているので、同じようなアイデアしか出てこない。可能であれば、社外から人を招き、ブレストに参加してもらったほうがいい。化粧品を手掛けていたころ、私は女性誌の編集者に声をかけて、意見をもらっていた。女性誌の編集者はファッションのプロフェッショナル。別の角度から専門家の視点を取り入れることで、いい刺激になった。会議に直接参加してもらうことが難しくても、後日意見を聞くなどして、積極的に外の視点を取り入れたいところだ。