1. ライバルは見ない
……パッケージでは差がつかない

お客の心をつかむには差別化が大切だ。ただ、商品やサービスはどこも同じようなものなので、ライバルを基準にして考えると、結局はわずかな差を大きく見せる針小棒大型のマーケティングになってしまう。

いまロクシタンという化粧品メーカーのクヴォン・デ・ミニムという新ブランドをお手伝いしている。ロクシタンは対面販売だが、新ブランドはセルフ販売だ。セルフ化粧品は、パッケージをかわいくしたりPOPで目立たせたりして、消費者の興味を惹きつけることがセオリーとされている。その点、新ブランドのパッケージは十分にかわいらしく、ライバルにまさるとも劣らない。しかし、かわいいパッケージの化粧品は世の中に掃いて捨てるほどある。見た目のかわいさで勝負しても、決定的な差にはならない。

図を拡大
ライバルを見ると業界の発想から抜け出せない

ライバルと差別化するためには、細かな違いを強調するより、ゼロベースで戦略を立てていったほうがいい。新ブランドについては、まず化粧品であることを忘れることにした。そこで浮かび上がってきたのが、雑貨として販売するという戦略だった。日本の化粧品市場は約2兆円で、すでに頭打ちになっている。その中でシェアの奪い合いをしている状況だが、各社似たりよったりで差別化は難しい。一方、ギフト市場は十数兆円、パーソナルギフトにかぎっても7兆~8兆円あるといわれている。それならば雑貨として売ったほうが可能性は広がる。新ブランドを雑貨として売ることにしたら、取り扱ってくれる店舗が増えた。おかげさまで滑り出しは上々だ。

ライバルを参考にしていたら、雑貨として売るアイデアは生まれなかっただろう。思い切って業界の常識から離れることが大切だ。