(右)新宿プリンスホテル 総支配人 武田昌人氏(左)西武ホールディングス 第三事業戦略室長 内野 誠氏

居住エリアの利便性を図り、住みたい街の駅前開発も進む。「住みたい町、通いたい町を目指し、駅前や高架下を使った商業施設の開発などを進めている」(西武HD経営企画部第三事業戦略室長 内野誠)など、居住エリアの利便性も図っている。

「鉄道の定期外利用を増やすため、『ちちぶ映画祭』を主催しました。居酒屋風列車で行先のわからない旅に出る『ミステリービアトレイン』や人気アニメ『妖怪ウォッチ』とコラボしたスタンプラリーなども企画し、ご好評いただいています」(西武鉄道鉄道本部運輸部プロジェクトマネージャー兼スマイル&スマイル室長 石橋憲司)

(右)西武鉄道 運輸部プロジェクトマネージャー スマイル&スマイル室長 石橋憲司氏(左)西武ホールディングス 第一事業戦略室長 田中雅樹氏

なかでも、西武秩父駅のある秩父エリアのPRには、タレントを起用したテレビCMを制作。「定期外のお客様が4.6%増えました。ここ数年増えていなかった中での4%は大きい」(経営企画部第一事業戦略室長 田中雅樹)と、早くも効果が出ているという。

西武HDの14年4~9月の経常利益は241億円、純利益は153億円を上回り、過去最高を更新した。ホテル部門、鉄道部門、不動産部門など、どこか一つの部門だけを一気にテコ入れするのではなく、全体的に底上げするよう、構造改革を行ってきた成果だ。

今後の長期アセット戦略として後藤は「不動産の有効活用をこれから徹底的にやっていく。赤坂の紀尾井町プロジェクトは16年夏に完成予定です。それ以外にも、高輪・品川の再開発は、われわれは最大の地権者として、主体的に参画していく。東京プリンスのある芝公園も、20年のオリンピックや、27年のリニア新幹線開業を踏まえたうえで検討していく。もうスタートしていますが、太陽光発電事業や水源のある土地もある。全国に展開している土地をしっかりと有効活用していきたい」と攻めの姿勢を崩さない。

日本全国の1億3600万平方メートル以上の土地をさらに活用し利益を上げていく。“眠れる獅子”西武HDはいま、目覚め、本領を発揮しようとしている。

(文中敬称略)

(矢木隆一=撮影)
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