(右)西武プロパティーズ 商業運営部長 大藤浩司氏(左)プリンスホテル 執行役員 軽井沢プリンスホテル総支配人 軽井沢ゴルフ・スキー総支配人 小山正彦氏

「今回の増床で“3世代が快適に楽しく過ごせるショッピングモール”が実現しました。最大500席まで稼働でき、気軽にお使いいただけるフードコートや、愛犬向けショップも拡大しました」(西武プロパティーズ商業運営部長 大藤浩司)

7月8日には、すぐそばにプリンスホテルの最高級ブランド「ザ・プリンス ヴィラ軽井沢」(20棟)がオープンした。

平屋が10棟、2階建てが5棟、温泉付き2階建てが5棟あり、一棟の宿泊者数は6人から8人。宿泊料はヴィラの様式と季節で変動し、7万円台から40万円台。ちょうどお盆の時期に台風が到来し出鼻をくじかれた格好となったが、着実に実績を挙げている。

「開業1カ月の実績で稼働率は7割程度です。当初我々が計画したものよりも低い数字ですが、チェックイン後にすぐにお部屋にご案内できるよう、稼働を意識的に抑えたところはあります。客室の単価は正規料金に近い値段で提供することができましたから、全体の計画としての収入は目標を上回りました」(軽井沢プリンスホテル総支配人 小山正彦)

レベニューマネジメントが成功したいま、プリンスホテルはこのヴィラをモデルケースに、次の高みを目指し始めている。

「いままで、宿泊部門は宿泊の仕事、料理部門は料理の仕事だけに専念してきました。しかし、このヴィラでは7人で最大20棟を担当します。そこで分業体制をやめ、全員がすべての仕事をこなせるクロスジョブ体制を取り入れました。すると、従業員の目が広範囲に及ぶようになり、お客様に最良のサービスを提供できるようになってきています」(同)

外国人旅行客も多い新宿プリンスホテルでは、コンシェルジュデスクで旅行相談をするゲストも多い。英語以外に北京語、ハングル語、タイ語を話せるスタッフもいる。

このヴィラのクロスジョブのように、かつての西武グループであれば考えられなかった事業部間や事業部の垣根を越えたビジネスも、少しずつスタートしている。

新宿プリンスホテルでは、西武鉄道とほかのプリンスホテルとの連携をスタート。「海外のお客様向けに、ホテルで西武新宿―本川越間の乗車券の販売を始めました。川越は小江戸の情緒を楽しめる街。いままでは駅に行かなければ買えなかった切符がホテルで買える。日本語がわからないお客様には、それだけで川越に行くポテンシャルが高くなります」(新宿プリンスホテル総支配人 武田昌人)。川越プリンスで1泊し、また新宿プリンスに戻ってくる宿泊客のために、荷物を取り置くなどのサービスも行っているという。