「米国にいる担当者でも呼び出して話をさせるので、その場ですぐに話が済みます。とにかく『持ち帰る』というのは絶対しないと心に決めています」

顧客の疑問点をスピード解決することで、効率的にクロージングへと導き、驚異的な売り上げをあげているのだろう。

ROIを徹底するうち、発見できたムダはほかにもあった。電話と手帳だ。

デジタルとアナログの効果的な使い分け
ITを駆使する山本氏が唯一使うアナログツールがロディアのメモ帳。営業先で図を使って説明する際に活用。メモはデジタル化して検索可能な状態にしてから捨てる。常にメモが残っていない状態を心がける。

「これらはROIを低くする元凶です。電話だと、あとで言った言わないが発生しがち。これは不毛な時間です。だから、私は電話の代わりに、記録の残るチャットを利用します。アナログの手帳は、どこに書いたかを探すのに余計な時間がかかるので使いません。情報はGmailと、Gmailで検索できるグーグルドライブに一元化しています」

そう語る山本氏の徹底ぶりには舌を巻く。営業先でホワイトボードに描いた図などもすぐに写真に撮り、電子化してタグ付けし、グーグルドライブに保存してしまう。ただし、これらの情報の整理や分類は一切しない。

「ツールの検索性が弱かったころならともかく、ITの発達で一瞬にして目的の情報にアクセスできるようになった現代では、情報の整理や分類にいくら時間を費やしても、そこからリターンは生まれないからです」

ビジネスマンが多くの時間を費やすメールの処理も、山本氏はすきま時間に手早くこなす。

「私は1日約500通のメールを処理しますが、大半は移動中にモバイル・ギアで読み、メンバーに対してはその場でGO、賛成、LGTM(looks good to me)のような返事を送るので、特に時間はとられません」