イノベーティブでないと生き残れない
実際、目標に向かって積極的にカード営業活動を始めると、繁忙期の12月で13万枚。少し落ちる1月でも10万枚を獲得。社員の意識も変わってきました。当初、「日本一なんて無理」などと言っていた社員も、わずか2~3年で意識が変わってきました。黒字回復した87年頃には、私以上に社員が本気になっていたのです。
リーダーが忘れてはいけないのは、イノベーション(新機軸)を起こしていかなくてはならない、ということ。これまでは営業企画とか商品開発、○○戦略室といった、サービスや商品などの差別化の武器をつくり出したりするセクション固有の概念だったイノベーションが、今やあらゆるセクションのあらゆる雇用形態の人たちが参加すべきものに変わってきています。
なぜでしょうか。商品ごとの差異が少なく、パイそのものが膨らんでいた時代は、各社はその力に応じてそのパイを分け合えばよかった。ところが、今はスティーブ・ジョブズみたいな異端児が、他とは全然違うコンセプトで凄いものをつくり出すと、ウイナー・テーク・オール。全部持っていかれる。
要は、イノベーティブな組織じゃないと生き残れないんです。消費者が望んでいることや、「ここはこう変えたほうがいい」といった声が現場レベルから上がってくるような、極端にいえば取引先まで含めた社員のあらゆる階層を巻き込んで、イノベーションを起こし、変えていくマネジメントが必要とされるということでしょう。
それを可能にする組織は、実際の組織図はともかく、トップと一番下との距離が近くないとダメ。リーダーは人事考課を武器にしたり、情報を遮断したりせず、部下に対してオープンでフランクであるべきです。明朗快活、会話も楽しく。皆の気持ちを高揚させることが大事で、そういう雰囲気を意識してつくっていくということです。
そのうえで、リーダーが部下に示すべきはまずディレクション(方向付け)。ビジョンを掲げるとまでいかなくても、「自分はこうしたい」と明示できるか否かが分かれ目でしょう。