山頭火の酒の飲み方

野菜が低カロリー食品なのだから、酢漬けも熱量は知れている。ちなみに胡瓜のピクルスが、12kcal/100g で、あとは推して知るべし、である。

Sさんの酢漬けの秘密は酢にあり、とにらんだ私はしつこくつきまとい、ようやく銘柄を聞きだすのに成功したものの、見つからず、方々捜した結果、青山の紀ノ国屋にあると判り、けっこうな値段に驚いたが、あの味ならばさもありなん、と購入さっそく漬けてみた。

さて、出来栄えはと試食したとたん、ごほごほとむせて咳き込む酸味のきつさ。それでは、と酢を減らせば、今度は古漬けみたいなふぬけた味で、Sさん作には遠く及ばない。そこで、匙加減というものに気づいた。

三拝九拝してSさんにお伺いをたてたが、

「勘でやっているので、割合とか何グラムとか、わかりません。ほんと、適当なんですよ」

謙遜の微笑でごまかされてしまった。私に情熱があれば、見えないゴールに向かって失敗を繰り返しながらも挑戦したのであろうが、いかんせん、こちとら呑むのが最優先なので、あっさりと諦めてしまったのであった。

山頭火は、酒は味わうべきもので、うまい酒を飲むべし、と己に「七戒」を課していた。

一、焼酎(火酒類)を飲まないこと
一、冷酒を呷らないこと
一、適量として三合以上飲まないこと
一、落ちついてしづかに、温めた醇良酒を小さな酒盃で飲むこと
一、微酔で止めて泥酔を避けること
一、気持の良い酒であること、おのづから酔ふ酒であること
一、後に残るやうな酒は飲まないこと

清酒をこよなく愛した山頭火は若い頃、種田酒造という酒蔵を経営したことがあり、造り手の心情、苦労もいたいほど知っている。私のごとき焼酎はもとより酒ならば手当たり次第の節操なしは、痛風の罰を受けて然るべし、なのであろう。

(佐久間奏=イラストレーション)
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