なぜ幸福な人は健康なのか
どうすればよいでしょうか。脳下垂体は私たちがストレスや不安を感じるたびに免疫を抑制するホルモンを出しますが、私たちが幸せや安らぎを感じているときには免疫を増進するホルモンを出します。これらの「自家製ドラッグ」にはセロトニン、ドーパミン、リラキシン、オキシトシンなどがあります。これらの強力なホルモンが血液中に放出されると、より多くの免疫細胞をつくるように指令を出します。たとえば1日5分間笑ったり、嬉しいと感じたりするだけでも白血球やナチュラルキラー細胞の数は大幅に増えるのです。
がんを克服するための感情マネジメント
PNIの研究からわかった感情と免疫系の関係を考えれば、私が研究しているがんの劇的寛解者たちが回復の途上で自分の感情にとりわけ関心を寄せたのは当然のことだといえるでしょう。過去10年間、私は非常に厳しい状況からがんを自力で克服した何千人という人たちの事例を研究しています。拙著『がんが自然に治る生き方』では、彼らに共通する9つの実践事項を抽出しましたが、そのうち3つは感情と直接的な関係がありました。
●抑圧された感情を解き放つ
●より前向きに生きる
●周囲の人の支えを受け入れる
運動をしたり、ユーチューブを見たり、ペットのネコと遊んだり、方法はさまざまですが、がんの劇的寛解者たちは毎日ストレスから自らを開放して深い呼吸をすることを毎日魚油のサプリメントや処方された薬を飲むのと同じくらい重要であると考えていました。 がんと闘うには免疫力を強めておくのはなによりの戦略です。がんの劇的寛解者たちはあらゆる方法でそれを試みています。そしてRNIの研究が明らかにしたように、感情をうまくコントロールするのは免疫力を高めるのに非常に有効です。
そしてがんの患者だけでなく、健やかに生きたいすべての人にとって、免疫力を高めることは理にかなっています。だから今日1日、5分だけでも自分を甘やかしてあげてください。
※この原稿はケリー・ターナー博士のオフィシャルブログ http://www.drkellyturner.com/blog/ を翻訳したものです
腫瘍内科学領域の研究者。学士号を取得したハーバード大学時代に統合医療に関心を持ち、カリフォルニア大学バークレー校にて博士号取得。博士論文研究では奇跡的な回復を遂げた1000件以上の症例報告論文を分析し、1年間かけて世界10カ国へ出かけ、奇跡的な生還を遂げたガン患者と代替治療者を対象に、治癒に至る過程についてのインタビューを行った。本書はそこから得られた知見を患者や家族、そして健やかに生きたいすべての人のためにわかりやすくまとめた著者初の書籍。