好きでなければ上手にならない

こうした実情も踏まえて、箱田先生は「600点を超えるくらいまではあまり“試験対策”を意識せず、普通に英語の勉強をしたほうがいい」とアドバイスしている。

「リーディングにしても、TOEICはビジネスに関する話や語彙が出るので、皆さん少しでもそれに近い教材でと思われるようです。でも“ファックスが壊れました”みたいな話をいくら読んでも、面白くないでしょう。それなら自分の興味ある分野の英語に触れたほうが楽しいし、モチベーションも上がります」

洋楽が好きなら発音を真似て歌ってみる、料理が好きなら英語のレシピで作ってみる、映画が好きなら英語字幕か字幕なしで鑑賞する、野球が好きならMLBの中継を観戦するなど。衛星放送やネットを活用すれば“生きた教材”はいくらでも手に入る。

「ただし、背伸びは禁物です。日本人はどうも“困難を乗り越えてこそ勉強”だと思っているフシがあります。それゆえに、負荷の大きな学習法、難しい題材、分厚いテキストに挑戦したがるのです。しかし、それで挫折しては元も子もありません。語学の習得では“わかっていること・できること”を、速く、たくさん、上手にできるようになることこそ重要なのです」

テキストを買うなら、薄くてラクにこなせる“ワンランク下”のレベルを選んで、何度も繰り返す、何冊もやり遂げる。振り返ったとき「こんなにたくさんやったんだ」と自信になる。自信を積み上げていくことで、次のステップに挑戦する意欲がわいてくればいい。

「企業からTOEICのスコアを求められるということは、仕事で使える相応の英語運用力が求められているということです。急場凌ぎのテクニックで点数稼ぎをしたところで、あまり意味がないと思います」