PCメールに欠けているもの

特別な設定をしないかぎりPCメールは着信してもすぐには気付かないし、テキストベースであるため感情を伝えるのが難しい。即時性と感情表現。これらがPCメールに欠けているポイントだ。

柴野さんのように、直接会話をすることでフォローできるならそれに越したことはない。夢の街創造委員会の中村さんも、社員との週1回の対話を重視している。

だが、社員3人のごく小さな所帯で、しかも代表の矢島里佳さん(26歳)が「月の半分は出張で不在にしている」というベンチャー企業「和える」の場合はそうもいかない。

和えるは矢島さんが慶應義塾大学4年生のときに設立した会社で、独自ブランドの伝統工芸品を企画し、ネットや百貨店で販売している。

矢島さんたちが仕事で大いに活用しているのがLINEである。FBのメッセージ機能で取材のお願いをしたところ、矢島さんから返ってきた言葉が「いまも社内連絡でLINEを使っていたところです」というものだった。

LINEの何が優れているのか。

「私たちは社内に加えデザイナーやプログラマーといった仕事仲間の人たちと、事象ごとに3~6人のLINEのグループをつくって仕事上の連絡に使っています。LINEが優れているのは、プッシュ通知なので着信したときにすぐわかることです。また、グループで対応しているときは、あとから参加してもやり取りの流れが追いやすく、何がいまの課題なのか把握しやすいですね。『既読』表示を見れば、誰に情報が伝わっているか返信を待たなくてもわかります。スタンプを使った感情表現が容易なので、チームワークが取りやすいという利点もあります」

つまり、PCメールの課題である即時性と感情表現をLINEなら満たせるということだ。写真の共有がスピーディにできるところもビジネス向きという。和えるでは個人情報や取引上の秘密に触れることは書き込まない、というルールを設けているが、それ以外については社内連絡の多くをLINE経由にしている。

もちろん、社外向けや議事録の共有といった目的にはPCメールを使用する。「PCメールは保存がききますし、検索性に優れているのも長所です。ですから、LINEと同時にPCにも同じメールを送信することが多い」という。