※本稿は、加谷珪一『日本はもはや「後進国」』(秀和システム)の一部を再編集したものです。
「ネット空間=バーチャル」では、生産性は上がらない
ソーシャルメディアは、もはや社会になくてはならない存在となっていますが、日本ではネット空間は、あくまでバーチャルなものと捉える傾向が顕著です。
普段は大人しいのに、ネット空間では性格が豹変し、他人に罵詈雑言を浴びせる人が多いことからもそれは分かりますが、こうしたネット空間に対する認識というのは、実は生産性に大きな影響を与えているのです。
ネット空間でのふるまいとリアルな世界でのふるまいは実は裏でリンクしており、リアル社会で他人を信用できない人は、ネット社会でもやはり他人を信用することができません。
総務省が公表した2018年版情報通信白書には、ネット利用をめぐる興味深い調査結果が掲載されています。同白書によると、日本人のソーシャルメディアの利用方法は極端に閲覧に偏っており、自ら情報を発信している人は少ないという結果が得られています。
フェイスブックにおいて自ら積極的に情報発信を行っている日本人はわずか5.5%で、米国(45.7%)、ドイツ(25.9%)、英国(34.9%)と比較すると大きな差が付いています。日本ではフェイスブックそのものがあまり普及しておらず、そもそも「利用していない」という人が過半数ですが、利用している人の中での比率という点でも、日本は16.7%と各国(40%〜50%台)よりも低い結果となっています。
他の媒体もほぼ同様で、ツイッターで積極的に発言している人は9%となっており米国の半分程度しかいません。ブログ利用者の中で、閲覧のみという人の割合は米国の2倍もあります。