奈良雅弘氏が分析・解説
最初に分析・解説するのは「事実や意見を相手に理解してもらう」という目的に照らしたとき、どのような伝え方が望ましいかについてである。
世の中に悪文は多々あるが、ことビジネス文書に関していえば、悪文と呼ばれるものには共通性がある。何か。相手を見ていないということである。相手の関心は何か。相手は今どういう状況にあるのか。そうしたことに配慮せず、見当外れなことをダラダラと書く。こうした傾向がほぼすべての悪文に共通している。
大八木氏の例も、その本質はきわめて近い。それは、こうした悪文を書いてはいけないということであり、「相手のことを考える」という、総括で触れた普遍原理に従って行動せよということである。
この話は「肝心なことから言え」というメッセージに要約される。忙しい相手に対して、いつまでも肝心なことを言わないことは、時間を浪費させるだけでなく、無用なストレスを与えることにもなるからである。
1959年生まれ。東京大学文学部卒業。人材育成に関する理論構築と教育コンテンツ開発が専門。著書に『日経TEST公式ワークブック』(日本経済新聞社との共編、日経BP)がある。