DeNA社長 守安 功氏

2012年5月26日、横浜スタジアムで会社の運動会を行いました。創業して十数年経ちますが、この種のイベントは初めて。正直なところ、どこまで盛り上がるのか、半信半疑な部分もありました。しかし、やっていくうちにみんな本気を出し、綱引きやリレーなど白熱していました。来年以降も続けていくつもりです。

今なぜ、運動会をするのか。最大の目的は、職場で話しやすい環境をつくることです。2011年の1年間で社員数が大幅に増えたこともあり、上下や横同士のコミュニケーションが取りづらくなったという声が増えました。そこで、社員交流のための運動会を試しに行ったのです。

弊社は12年4月に渋谷ヒカリエに引っ越しました。新しいオフィスにも社員のコミュニケーションを促すための工夫を施しています。たとえば夜9時までオープンしている社員食堂の「Sakura Cafe」は、勉強会を開催したり、テレビを見てベイスターズの応援をしたりと、多目的に使えます。また、フロアの中にホワイトボードを設置し、簡単なミーティングがすぐできるようにしました。

上の立場にいる人の場合、自分が話すことよりむしろ、部下が話しやすい環境をつくるほうが重要です。サービスに関する情報が部下から上がってこなければ、有効な戦略を立てることもできません。

私たちは全社員に必要な共通の姿勢として「DeNA Quality」を定め、手帳やノートに印刷して配り、社員への定着を図っています。この中には、コミュニケーションを活発にするための5つの考え方を掲げています。

その中の1つに、「全力コミット」があります。これは「ツーランク上の目線で、組織と個人の成長のために全力を尽くす」という考え方で、平社員でも、グループリーダーのさらに上の部長の視点で考えてほしいという意味です。2つ上の目線を持つことで組織全体を意識するようになりますから、役職や部署に合わせて伝え方を変える必要はなくなります。