「発言責任」という言葉も掲載されています。弊社では、役員クラスと週1回の経営会議で考えをすり合わせる機会をつくっています。経営会議は毎週月曜日の18時からで、終了時刻は決めていません。アジェンダがあるかぎり、とことん話し合うため、食事をとらないまま0時を過ぎることもあります。

ここで重要なのは、トップダウンで話すのではなく、参加者それぞれに意見を出してもらい、正しい結論に持っていくこと。これを支えているのが「発言責任」という考え方です。

生意気を言うのにもルールがある

弊社では、これまでも役職や年次、スキルに関係なく、自分の考えをその場で発言しなくてはいけないと繰り返し提唱してきました。今ではそれが、すっかり“文化”として根づいています。

会議は「発言責任」が最も問われる時間です。議論で大切なのは、「誰が言ったかではなく、何を言ったか」です。もしも私がおかしなことを言っていると思えば、その時点で遠慮なく「社長は間違っている」と言わなくてはいけない。それが社員の責任です。

「発言責任」は、会議以外の場面でも同じです。たとえば新入社員が上司の営業に同行して、一言も話さずに帰ってくると、帰りに「今日のおまえはノーバリューだ」と指摘されることもあります。

もちろん、上の立場にいる人は、部下が発言しやすい環境を整える一方で部下からの発言を受け止めなければいけません。私は前社長の南場智子に対して、言いたいことをズバズバと言っていました。南場からは、「守安は、DeNAでなければ絶対に出世しない」と言われていたくらいです。上司の懐の広さゆえ、許されていたのだと思います。

ただし、生意気を言うのにはルールがあります。人の意見を批判するだけでなく、きちんと対案を出して論理的に話す。だからこそ建設的な議論ができるのです。トップの立場から言えば、こうしたルールを踏まえたうえでの異論反論を認めない限り、組織の成長はありません。