最初からメールベースのやりとりはダメ

部下たちが発言しやすい環境をつくったうえで、正しく、誤解されないようにメッセージを伝えることが上に求められる役割です。

私が1番心がけているのは、「シンプルにわかりやすく話す」ことです。難しい言い方をするのではなく、平易な言葉で物事の核心をついてストレートに話す。それがもっとも相手に伝わります。

シンプルに話すという意識は、グローバルな展開をするようになり、さらに強くなりました。外国人とのコミュニケーションでは、自分の考えを明確に伝えることが何よりも重要です。

ただし、あまりに簡潔で冷静な物言いをすると、相手に「ぶっきらぼう」だという印象を与えかねません。それを補うのが、テレビ会議システムなどを使った可能な限り顔を合わせてのコミュニケーションです。地理的に離れていると、どうしてもメールベースのやりとりになりがちですが、最初からそれではダメです。

弊社は2010年にアメリカのngmocoという会社を買収しました。12年3月、同社のニール・ヤングCEOと1泊2日でラスベガスを旅行したのですが、仕事以外の話で盛り上がり、お互いのバックグラウンドも理解できるようになりました。

1度、信頼関係が構築されると、その後の仕事も円滑に進むようになります。これは、外国人も日本人も共通です。

弊社では2012年から、グループリーダー約100人を集めて月に1回会議を実施し、さらに3カ月に1度、合宿を行うことにしています。もともとは年2回、全社員を集めた会を行っていましたが、それだけでは経営陣の考えがタイムリーに伝わらなくなったためです。

グループリーダーを週に2回、1人ずつ、ランチにも誘っています。ランチの場では、会議や合宿でフォローしきれない個別の課題について深い話ができます。こうしてまずグループリーダーと考えを合わせ、そこから各社員に考え方を伝えてもらう取り組みを始めました。

発言がぶれてしまうと、部下は混乱してしまいます。ミドルマネジメントであれば、自分の上司と意識を合わせ、部下に対して一貫したメッセージを伝えることを心がけなければいけません。

DeNA社長 守安 功 
1973年、茨城県出身。茨城県立土浦第一高校卒。98年東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学修了後、日本オラクル入社。99年ディー・エヌ・エー入社。2006年取締役。07年ポータル・コマース事業部部長。11年より現職。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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