他の要介護者と一緒に世話されるのは、屈辱
デイサービスに行くのを嫌がる要介護者は多いといわれます。ネットで調べると認知症の方に目立つと出ていましたが、この時の父のように意識がしっかりしている人でも拒むケースは少なくないそうです。ケアマネージャーに聞くと「性格にもよりますが、男性にはデイサービスを受け入れてくれない方が多いです」と教えてくれました。「男性はプライドが高く、他の要介護者と一緒に世話をされるのを屈辱と感じるのかもしれません」とも。
父の場合、ほんの10日ほど前まで普通に生活し、突然寝たきりになりました。そのショックでひどく落ち込んでいる状態でしたから、なおさらだったのでしょう。そんな父の心情をくみ取らず、傷つけてしまったことを私は後悔しました。
ただ、その一方で「外出しなければならない時は、どうすればいいんだ」という悩みが押し寄せました。
私がもしフリーランスの仕事でなく、毎日出勤しなければならない人が介護するなら、この悩みはより大きなものになるでしょう。
父が要介護になってからは、取材のある仕事は少なくするようにしましたが、それでも仕事を続けている以上は外出を避けることはできません。ケアマネージャーに相談すると、ホームヘルパーは介護保険の点数の兼ね合いもあって長時間の世話は無理。不在時をカバーするには、家政婦を頼むしかないが費用面の負担が大きくなるとのことでした。
在宅介護で避けて通れないのは、要介護者を1人にせざるを得ない時間をどうするか、という問題です。これは要介護者の状態や置かれた状況にもよりますが。体が多少不自由でもトイレに行くことができれば1人にしても大丈夫でしょう。しかし認知症を発症していたり、寝たきりの場合は極力つきっきりでいなければなりません。
とはいえ生活をしていく以上、外出は避けられないものです。食事をつくるための食材や紙オムツなどの介護用品を買いに行かなければなりませんし、処方された薬をもらいに行く必要もあります。私もそんな時は「30分だけ出てくるから」などと父に声をかけ、急いで買い物に行ったものです。人によっては、何かの事情で長時間、家を空けなければならないこともあるはずです。