――14年4月1日付で、PC事業の「PC」、スマートフォンとタブレットの「モバイル」、サーバーの「エンタープライズ」を軸とした組織に変更しました。
【ランチ】3つの事業を将来の柱に据えたい。今回の組織変更はそれを見据えたものです。IBMのサーバー事業の買収や、グーグル傘下のモトローラブランドのスマートフォン事業買収は、各国当局の認可待ちの状況で、詳細についてはお話できません。ただ、通信分野におけるモトローラのブランド力は先進国では圧倒的です。さらにレノボは新興国市場での認知度が高い“補完関係”が出来上がっています。グループ人材も約8割が技術者で、Androidに関する技術的蓄積もありメリットは大きいと考えています。
――サーバー事業は収益性が低く、ヒューレット・パッカードやデルは、ソリューションで収益を稼ぐ形に転換しました。
【ランチ】レノボの強みはハードウエアで収益を生めることです。それはPC事業で証明済みで、この形をサーバー事業に持ち込む。もちろんソリューションの提供も行いますが、それは、ソフトウエアベンダーやSIer(システムインテグレーター)などのソリューションパートナーとともに提供していきます。
――今の課題はなんですか。
【ランチ】PCメーカーとして成功を続けながら、「PCプラス」と呼ぶ、スマートフォンやタブレット、サーバー市場でも成長していくことへの挑戦です。私は台湾エイサーのCEOを務めていましたが、レノボの強みは、真の意味でのグローバル企業であるということ。エイサーが台湾を中心にアプローチしていたのと、戦略が異なります。多くの会社では、すべての物事がひとつの国の中だけで決められてしまい、社員が世界中にいても、意見を戦わせることも、話し合うこともない。レノボの社員の多様性とそれを生かす文化は、世界で成功するための必須条件です。レノボは、世界屈指のグローバル企業だと自任しています。
トリノ工科大学で土木工学を専攻。1981年テキサスインスツルメンツ(TI)入社。97年TIのノートブック事業が買収されたため、台湾のエイサー社に入社。2008年エイサー社のCEOに就任。12年レノボ社に転じ、欧州、中東、アフリカ地区担当上級副社長に。14年2月より現職。