「米国公認会計士」は有利になることも
再就職では経験とキャリアなど専門性が重視されると前述したが、その意味で「資格」は役に立つのだろうか。渡辺、中村両氏の見解は、「評価の参考にはなるが、決定打にはならない」と共通する。
「うちのような人材サービス会社では『産業カウンセラー』は有利ですし、介護関連の会社では『介護福祉士』の保有は意味があります。でも、あくまでもそれは参考程度。たとえば『中小企業診断士』は、難しい資格ですが、取得者がとくに有利になるわけではありません。会社を辞めた後、突然資格試験の勉強を始める人がいますが、お勧めはしません。それより1日も早く再就職活動をすることが大事です」(渡辺氏)
「人事は、『資格は正味の実力とは無関係』と見ています。採用の決め手にはなりません。語学力をアピールするうえで『米国公認会計士』はプラスになりますが、『中小企業診断士』や『社会保険労務士』であれば、ないよりはあったほうがよいというレベルです」(中村氏)
再就職活動は「転職なんか一度も考えたことはない」という30代も決して無縁ではない。常在戦場。いまは、いつ会社に放り出されるかわからない時代である。中村氏は「転職すればうまくいくのではなく、日頃からうまくやっている人が転職できる」と話す。
「部下の信頼が厚く、会社での困難な課題をしっかりと解決できるマネジャーであれば、人の使い方もうまいし、自分のアピールも上手にできる。そういう人は転職もうまくいきます。会社の中で自分はどんな役割を果たし、どんな貢献をしているか。それを普段から意識できている人は、再就職でも違いますね」
1964年生まれ。89年テンポラリーセンター(現・パソナグループ)入社。93年人材交流システム機構を設立。2010年より現職。