――1993年秋、マデイラ島フンチャル市、CFアンドリーニャのグラウンド
「あいつにとってボールは、我々が毎日食べるパンと同じようなものだった。速くて素晴らしいテクニックがあり、左足も右足も同じように使えた。体こそ少し細身だったが、同い年の子供と並ぶと頭一つとびぬけて背が高かった。とんでもない才能がこの子に秘められているのは、明らかだった。遺伝子の中に組み込まれていたのだろう。
いつもボールを欲しがり、1人で試合を決めようとしていた。強烈な意志があり、どこのポジションに配置されてもきちんと役目を果たそうとしていた。そして、試合に出られないときや負けたときは、絶望の色を見せていたよ」
そう振り返るのは姉カティアとロナウドの担任を務めたフランシスコ・アフォンソで、25年以上にわたりマデイラの少年サッカーの指導に心血を注いできた男だ。彼こそロナウドにとって初めての監督で、彼は少年のプレーを初めて見たときの衝撃を今も忘れていない。
そのときの驚きを忘れていないのは、アンドリーニャ会長のルイ・サントスも同じだ。「ロナウドのようなフットボーラーには滅多にお目にかかれるものではない。プレーをひと目見ただけで、ほかの子供とは全然違うとわかったんだ」
※本連載は書籍『Who is the Best? メッシ、ロナウド、ネイマール。最高は誰だ?』(ルーカ・カイオーリ 著)からの抜粋です。