家で仕事をするとなると、自宅に大量の資料を持ち帰らなければいけないかと思うが、そんな必要はない。
「『クラウドストレージ』というインターネット上に書類をデータ化して保管するシステムがあるため、そもそも紙の資料は持っていないんです」
だから、パソコン1つあれば、オフィスにいるのと全く同じ環境が実現する。ただし、職場で働いていると、上司や同僚にすぐ質問できるなどの利便性がある。そうした側面は、どのようにカバーしているのか?
「世界共通のチャットシステムがあるので、画面をクリックすれば、すぐチャットか電話ができる仕組みです」
筆者は、実際にその画面を見せてもらった。するとそこには、社員の名前と顔写真が卒業アルバムのように映し出され、彼ら、彼女らが今どこで何をしているかが記されていた。「in meeting(会議中)」「out of office(外出中)」なんて具合だ。そして、その部分にカーソルを持っていくと、「I am on vacation(休暇中)」だとか、「Do not disturb(邪魔しないで)」などのメッセージが飛び出す。
さらに、パワーポイントで作成した資料を上司や同僚に見せながら話したいときは、その資料を画面に表示して、全員で共有することもできる。従って、オフィスで顔を合わせないことのハンディは生じない。
ちなみに、在宅勤務中は、仕事の開始を報告する義務もない。何時に仕事を始めようが、何時に終わらせようが、「コアタイム7時間40分」の決まりを守れば、あとは自由だ。それどころか、12年からは「フレックス@ワーク」という、業務時間を月単位で捉えて個々が月次でスケジュール管理する制度が世界同時に導入されたため、日によっては定時時間通りに働かなくてもよい。
「たとえば、海外のチームと一緒に仕事をする場合、時差の関係で電話会議が深夜に及ぶこともあります。そんなときは、次の日は3時くらいに仕事を早く切り上げるのも、本人の権限に任されています」