マクロの世界を注視し、変化の「兆し」を掴む
――いま、オリックスグループの収益は法人金融サービス、メンテナンスリース、不動産、事業投資、リテール、海外の6つの事業部門で構成されていますが、「明日のコア事業」となる7つ目の部門は、まだみつかりませんか。
【宮内】いや、いまは、みつけようと急いでいません。2008年に起きた「リーマンショック」で明確になったことは、世界的に金融が膨張し過ぎていたのが、いまや収縮期に入っているということです。収縮期では、金融の世界で面白いことをみつけるのは難しい。むしろ、一歩でも金融から離れるのが、次のコア事業の候補でしょう。「金融に縛られず、非金融へ舵を切りたい」と思っています。
――経営者は別にして、中堅や若手のビジネスパーソンが「明日のコア事業」を目指して新たなビジネスモデルを捜し出すには、何に最も留意すべきですか。
【宮内】『世界は動く』では「マクロの世界を注視する」ことをアドバイスしていますが、新たなビジネスチャンスをつかむには、世界の大きな流れの変化を読み取ることです。流れに逆らっては、成功は困難です。「リーマンショック」のときで言えば、金融業界は世界的に叩かれました。そこから「これは、当分の間、金融でのチャンスは縮小するな」と読み取らなければいけません。中国やインドの経済が拡大しているときも、どこで踊り場がくるか、変化の兆しをつかまなければダメです。そんなときは、いくら新しいビジネスモデルを考え出しても、市場が広がりません。基本は、そういう大局観を持つことです。
大局観を身につけるには、一にも二にも勉強です。世界の歴史を学び、現在の世界をよくみる。地球環境問題など、場合によっては宇宙のことを知り、そこから地球をみないといけないこともあります。そのように、全体の流れや変化を大きくとらえないと、新事業につながりません。本をよく読み、人と会って話すことも大事ですが、世界の現場に立って事実を知ることは、もっと大切です。