環境が厳しくなると実力のない人から淘汰されてゆきます。ホンモノしか生き残れない。そういう時期に何をすべきかといえば、まずは自分の仕事と当面の財産を確保することです。それができたら、ホンモノの実力を蓄える努力をする。
厳しい時代にはさまざまな外壁や虚飾が剥がれてくるので、物事の本質があらわになりやすい。自分自身でもこれではダメだと感じやすい時期です。ダメだと感じた人は本質に戻って、じっくり勉強したほうがいい。ダメだと思わなくても勉強する。困らないうちにしておくのが勉強の本質です。いいときも悪いときもコツコツやろうというのが日本人という民族の美徳ではないかと思います。
バブル崩壊後に『清貧の思想』(中野孝次著)が流行しましたが、今また戦後最長といわれた好景気が終焉を迎え、チャラチャラした時代は終わった。本質に戻って、自分を磨く時代に回帰したのです。
いずれまた好景気の波がやってくるのだから、今のしんどい時期を前向きにとらえて、勉強のチャンスだと考える。
不景気といっても大多数の人は仕事を失うわけではありません。失業率が上がってもピークは6%、その手前の5%台で止まると思います。それ以上悪化したら大変ですが、過去の経験則からいってそこまでにはならない。ただし給料やボーナスは減るかもしれません。残業も減る。だからこそ「勉強時間ができた」と思えばいい。
では自分の実力を上げるためには、どんな勉強をすればよいのでしょうか。明治大学の会計大学院で教えていた学生に私がよく言ったのは「頭をよくしたほうが早い」ということです。