2014年6月、オリックスの会長兼CEOを退任した宮内義彦氏。小泉内閣時代は規制改革会議の議長を務めて、抵抗勢力と激しくやり合った。かつての改革の旗手は、アベノミクスをどう見ているのか。
女性を差別したら会社はすぐつぶれる
【田原】いま安倍さんが女性の管理職を3割にしようといっていますね。裏を返すと、いまは女性管理職が非常に少ない。なぜですか。
【宮内】いくつかの要素があります。まず、男性の目で女性を評価していたということ。男性から見て能力があると思って上にあげると、どうもミスマッチが起きて、やっぱりダメという話になる。また、男性は自分が働かないと暮らしていけませんが、女性の場合は必ずしもそうではなかったという社会的環境の差もあったと思います。
【田原】ほかには?
【宮内】教育も大きな要因です。採用面接で、これはいけそうだなという女性がいました。ところが専攻を尋ねると、「ピアノをやっていました」という。当社はバランスシートを読んでもらわないと困るので、採用できませんでした。これは本人の問題というより、女の子はピアノかバレエ、男の子は野球かサッカーをやれという教育の問題でしょう。教育に原因があるとすると、いっぺんには変わらない。女性管理職を3割まで持っていくには、まだ少し時間がかかるでしょう。
【田原】女性は結婚や出産で辞めるから、最初からまともに社員教育をしていないという指摘もあります。これはどうですか。
【宮内】辞める人が多いのは事実です。しかし、だから女性を教育しないと思ったことはないですね。当社は約4割が女性社員。もし女性にストライキされたら会社がつぶれます。ですから女性差別しようなんていう気は、100%持ったことない。
【田原】宮内さんは家庭で家事をするのですか。
【宮内】まったくしません。「厨房に入るべからず」という教育を受けましたので。やっぱり自分たちの世代では無理です。私は教養で補って女性登用といっているわけですけれども、根本の教育が悪かったから身についていない(笑)。