ヒラメの存在意義がある会社、ない会社とは
そもそもヒラメはいつどのようにしてヒラメ化したか。もし、あなたに心の余裕があるのなら、客観的に考えてみるとよいでしょう。
なぜなら、組織で働く以上、自分自身もヒラメになる可能性が大いにあるからです。おそらく、ヒラメ化した上司は、その人なりにビジネスパーソンとして必死に環境に適応し、生き延びようと知恵を働かせた結果、ヒラメに進化したのだと私は思うんです。
特に、トップがカリスマ的な企業であればあるほど、その周辺は上ばかり見るイエスマンが多くなる。企業の成長プロセスがこうしたステージにある場合、ヒラメの存在意義は案外あるものです。
ただし、社長交代や転職などでそのステージが変わった途端に状況は一変。社内ヒエラルキーという生態系に生きるヒラメは「外海」では決して生き延びられない脆弱な生き物なのです。
ヒラメも問題ですが、最近では部下の意向に振り回されてばかりの「逆ヒラメ」も増殖しています。これもやはり組織にとっては厄介な存在。理想的なのは、上も下もバランスよく気配りできる「目」を持ち、率先して群れを引っ張れるような人材でしょう。
とはいえ、人間関係はそれほどうまくいかないかもしれません。とりわけヒラメ上司の場合、部下の立場で状況を改善するのは難しい。どうしても、上司の方針に沿えないような場合は、勇気を持って部下が団結し、社長などヒラメが恐れる幹部に直談判をするという作戦もあるかもしれません。
とにかく、腐らず愚直に仕事に取り組めば、それを評価してくれる人は必ずいるということを忘れてはいけません。
1961年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルートを経て2000年にリンクアンドモチベーションを設立。同社独自の技術「モチベーションエンジニアリング」が一躍話題に。