――今後のコマツの課題は何か。

【大橋】13年度からの中期経営計画では3つの柱を打ち出した。イノベーションによる成長戦略と既存事業の成長戦略、土台強化のための構造改革である。2番目と3番目は、既定路線でやり方もやる内容も明快だ。しかしイノベーションは決して簡単にはいかない分野であろう。

コマツでは新しい価値の創出をイノベーションと定義している。それはお客様のビジネスを大きく変え、われわれも変化していくようなソリューションである。

いま、オーストラリアの鉱山で当社の無人ダンプ運行システムが稼働している。ここは街から遠く離れ、気温が50度にもなる。そんな場所に運転手を住まわせるには家や食堂、診療所等インフラが必要になるが、無人ダンプを導入すればそうした問題を解決できる。単に無人ダンプをつくるだけでは、お客様のビジネスを変えることまではできない。われわれはお客様の現場をお客様以上に理解し、新しい価値をつくり出す「イノベーション」を提供できる存在にならなければならない。

コマツ社長 大橋徹二
1954年、東京都生まれ。77年東京大学工学部卒業、コマツ入社。82年スタンフォード大学大学院留学。2001年真岡工場長、04年コマツアメリカ社長、07年執行役員、09年取締役。13年4月より代表取締役社長兼CEO。
[出身高校]私立麻布高校[長く在籍した部門]生産管理部門[趣味]塩野七生『ローマ人の物語』
[座右の書]熟慮断行[座右の銘]ゴルフ、スキー、観劇
(宮内 健=構成 尾関裕士=撮影)
関連記事
起業と会社清算:逆境下でも部下の再就職先探しに奔走 -丸紅社長 國分文也氏
起業と会社清算:逆境下でも部下の再就職先探しに奔走 -丸紅社長 國分文也氏
コマツ―新興国「深堀り」大作戦【1】
なぜコマツは実質“在庫ゼロ”を目指せるか
世界初の「ハイブリッド建機」完成への執念 コマツ 平木彦三郎 61歳・井上宏昭 49歳