目的を意識したお金の使い方としてもうひとつ、株式投資の例を紹介しよう。

普通、株に投資するのは利益を出したいというのが理由だ。ところが、マーケティング会社を経営する私の知人は違った。

彼が株に投資するのは、目利きとしての力を磨くためなのだという。社会や経済に対する自分の読みが当たっているかどうかを知るために、株にお金をつぎ込んでいるというのだ。投資する額も、相当なものらしい。

この「勉強のためだから大金を投下できる」という点がユニークだ。

つまり、彼の考え方を説明すると、こういうことだ。

株に勝ち負けは当たり前。勝ち続けることはできない。だから、利益だけを目的にすれば怖くて大金は投入しにくい。しかし、勉強や仕事に役立てるためなら、負けても必ず得るものがある。だからこそ「大金をつぎ込んで勝負できる」というわけだ。

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プレジデント2012.4.2号「お金に愛される習慣」より。(年収1500万円以上=n349、年収500万円台=n350)

ここにあるのは、主導権を握るのは、お金か自分かという価値観だ。

お金が目的になってしまうと、失ったときには挽回しようと考える。ギャンブルで負けた人が、元手を取り戻そうとして悪循環に陥るのと同じである。また、株価が下がったときでも、買ったときの値段を気にして「いくら損した」と考えたりする。

これは、お金に主導権を握られている人の典型だ。

一方、目的が利益以外にあれば、自分で主導権を握ることができる。また、お金を使うのは、目的達成のための手段という発想をもつこともできる。

何のために買うか。とてつもない報酬を得る人は、このことをつねに意識しながら生きたお金の使い方をしているのである。

【年収1億を生む黄金則】お金を使うのは、目的達成の手段にすぎないとの発想をもつ。

(※『プロフェッショナル ミリオネア』(プレジデント社刊)第1章「考える、失敗を積む」より)

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