がん治療の特徴は、受ける治療方法によって費用が大きく異なるということだ。

未承認抗がん剤を海外から輸入して使用した場合などでは、1000万円以上もの高額な治療費がかかる事例もある。

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がんの治療費は9割が300万円以下

「がんと闘病するうえで必要なのはお金ですが、同じくらい“情報”も重要です。例えば、1カ月あたりに支払う保険診療の医療費が一定額(一般的な生活水準の人であれば約8万)を超えた場合、それ以上の支払額が戻ってくる『高額療養費制度』などの公的サポートがありますが、これらは自分から申請しなくては利用できないセルフサービス型の制度です。治療計画を医者任せにするのではなく、自分自身で多くの情報を収集して使える制度はどんどん活用し、より良い治療を受けるという意識が大切。大病院なら医療ソーシャルワーカーに制度についてのアドバイスをもらうこともできます」

治療を続ける黒田さんだが、自身のこれまでの「(医療費や交通費などを含む)がんにならなければ、支出しなかったであろう金額」は、274万円程度だった。医療費は222万円で、そのうち乳房再建費用(保険適用外)に150万円、先進医療(乳がんにおけるセンチネルリンパ節の同定と移転の検索)に5万円かかった。そのほかでは、交通費や入院時の日用品購入費用が意外に嵩(かさ)んだという。