佐竹優子さんの経歴

その後、営業企画部を経て支店長に就任。部下の数もそれ以前の5、6人から27人に増えた。なかには年上の部下もいる。

「最初はとまどいましたが、考えても仕方がありません。経験も知識もある方々なので、協力してもらいながら仕事を進めています」

日々の仕事の中で、女性だから苦労したことは「あまり思いつかない」。女性が増え、「自然体で仕事ができるようになった」からという。

いまのところ女性支店長は首都圏に固まっており、女性執行役主催の食事会などもあって接点も多い。仕事に関わる情報交換だけでなく、ファッションやグルメの話などもする。

管理職への昇進が視野に入り出す、30代前半の女性からときどき相談を受けることもあるという。管理職になると何が大変か、結婚は、など内容はさまざまだが、「将来のことを先取りして悩んでも仕方がありません。働いていると、仕事に対する価値観もどんどん変わります。早急に結論づける必要はない」とアドバイスすることが多い。

ただ、男性が比較的早いうちから上を目指し、そこから逆算して足りないスキルや経験を積み上げようとするのに対し、「女性はそういった発想を持つ人は少ないのでは」と話す。

「私自身も、インターナル・ホールセラー室に異動になって支店長が視野に入ってから、足りないキャリアについて逆算して考え始めました」

大和証券グループでは、05年に「女性活躍推進チーム」を発足させ、女性が仕事を続けやすい環境づくりを行ってきた。女性の管理職への登用も進めており、同チーム発足前に75人だった女性管理職は、09年度には159人に増加。「将来は支店長になりたい」といって入社する女性も増えているという。

今回取材した2人に共通していたのは、目の前の仕事に懸命に取り組み成果を出してきたこと、さらにそれぞれの立場で求められる役割を自問し続け、実践してきたことだったと感じる。

もちろん会社のバックアップも大きいが、「目先のことだけでなく全体像を見る力」を持った女性にチャンスは与えられるのだろう。

(尾関裕士=撮影)