招致レースは混とんとしている。3都市が横一線か。ただ安定志向の風が国際スポーツ界に吹き始めている。

「その風をどう、東京にうまく取り込んでいくかということ。まずは失敗しないことが大事でしょ。変な発言はしないよう、慎重に慎重に動いていかないといけない」

ただ東京にはアスリートの“熱”を感じる、と荒木田は言葉を足す。

「日本が誇れるのは、これだけ一生懸命になっているオリンピアン、パラリンピアンがいるっていうこと。20年に向けて、オリンピックムーブメントを全国展開していくことが大事。アスリートが招致活動に加わることによって、いろんなことに興味を持ち始めている。日本の国際スポーツ力アップのきっかけにもなってほしい」

荒木田の頭にはいつも、アスリートの自立がある。国際スポーツ人の育成がある。五輪運動の推進がある。

そういえば、荒木田はJOCで、トップアスリートの就職支援ナビゲーションシステム「アスナビ」も主導している。いわばシュウカツ応援。

「わたしは、アスリートに後悔するような人生を送らせたくない。オリンピックを目指している人たちの応援団長になってあげたいの」

耳たぶには金色の馬のカタチのピアスが光る。来年、還暦を迎えるウマ年生まれの応援団長。東京五輪招致の成功、さらにはアスリートの充実した環境づくりに向け、駿馬のごとく、世界を駆け回る。

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