東京都心のみならず、全国各地で1億円以上のマンションが増えている。日本経済はこれからどうなるのか。経済評論家の加谷珪一さんは「このままインフレが続けば、所得や消費、社会階層の二極分化が進む嫌な世の中になっていく恐れがある」という――。(第1回)

※本稿は、加谷珪一『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

通勤途中のビジネスマンたち
写真=iStock.com/AzmanL
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一生懸命働いているはずなのに、生活が豊かにならない

このところ、世の中がおかしくなっているのではないか、いろいろなことがうまく回らなくなっているのではないか、という感覚を持っている人は少なくないと思います。しかしながら、その感覚はハッキリ見えるようなものではなく、曖昧で漠然としているのではないでしょうか。

多くの日本人は、真面目に一生懸命働いているはずですが、どういうわけか賃金は上がらず、生活は豊かになりません。一方で、物価は上昇するばかりで、年々買えるものが少なくなっている状況です。

ネットの発達によってワンクリックで簡単に買い物ができるようになり、世の中は便利になったはずですが、思ったほど快適さを実感できているわけではなく、むしろ再配達や送料の問題など、逆に振り回されているという印象すら持っているかもしれません。

ネット通販の世界では、様々なポイントが提供されており、安く買い物できるチャンスがたくさん転がっています。しかし、ポイント制度もよく見ないと細かい条件がついていたりしますから、本当に自分にとってトクなのか、調べれば調べるほど分からなくなってきます。

「初回無料」といったキャンペーンも同じようなものではないでしょうか。私たちはどうしても無料という言葉に惹かれ、時間をかけて手続きしてしまいますが、結局のところ、それは実質的に無料ではなかったりすることもたくさんあります。

社会に何か大きな変化が起きている

コロナ危機で一時、停滞したとはいえ、LCC(格安航空会社)の発達で海外旅行も便利になりました。しかし、以前の旅行と比べると、なぜかせわしなく、飛行機の乗り継ぎ時間もますますタイトになり、直行便でもない限り、乗り遅れずに目的地に到達できるのか、いつもビクビクしながら旅行している人も多いと思います。

機内の手荷物制限も昔は緩やかでしたが、今は厳格になっており、航空会社によって条件が違ったりしますから、追加料金なしで荷物を機内に持ち込めるのか、毎回不安になっている人も数多くいることでしょう。せっかく便利に世界中を旅する機会が増えているにもかかわらず、何か切迫感のようなものを持ちながら旅行しなければならないというのは本末転倒といえるかもしれません。

社会全体を見渡すと、SNSを通じて雇われた若者が、ごくわずかな金額のために住宅に押し入って人を傷つけたり、最悪の場合には殺すといった事件が起こるなど、私たちの基本生活が脅かされているような感覚すらあります。もっとも、統計的に見れば犯罪の件数は減少基調ですから、数字の上では、日本はより安全で住みやすい社会になっています。

しかしながら、今までの常識では考えられなかった犯罪が多発しているということは、やはり何か大きな変化があると考えざるを得ない面があると思います。