60歳を超えて発症した家事もできなくなる痛み

2022年の終わり頃、右肩に痛みが走りました。それまでにも人並みのこりはたびたび感じていましたが、このときは明らかに様子が違いました。夜眠っていてもズキズキと疼うずくような感覚が続き、服を着ようと腕を上げるだけで、顔が歪ゆがむほどでした。

城戸真亜子 Maako Kido 1961年、愛知県生まれ。87年武蔵野美術大学油絵学科卒業。洋画家として個展の開催やパブリックアートを手掛け、アートスクールも主宰。近年は企業の社外取締役なども務める。
城戸真亜子 Maako Kido
1961年、愛知県生まれ。87年武蔵野美術大学油絵学科卒業。洋画家として個展の開催やパブリックアートを手掛け、アートスクールも主宰。近年は企業の社外取締役なども務める。

タレント活動と並行して、画家として個展を定期的に開催しているため、長時間絵を描くのが日常です。肩が痛いと絵筆を持って手を上げる動作もつらく、肩をかばうことで背中や腰まで強張こわばっていきました。作品を制作するどころではなく、家事もまともにこなせませんでした。

「もしかしたら、この痛みと一生つきあっていくのかもしれない」

そう考えると、先の見えない不安に襲われました。五十肩かもしれないと思いましたが、ネットで調べてみるとどうやら症状が違うようです。私の場合、腕が上がらないわけではなく、ある角度に達したときだけ刺すような痛みが走るのです。寝返りを打つことさえ、怖くなるような感覚でした。

「肩こり」という呼称には、どこか軽い響きがあります。ですが、私が経験したのは“こり”の領域をはるかに超えていました。今もきっと、同じような痛みに悩んでいる方がいらっしゃると思いますが、私は適切な診断を受け、生活を見直し、運動や治療を継続することで、乗り越えることができました。慢性的な肩こりも、決して侮ってはいけません。

痛みのきっかけは、はっきりとはわかりません。ストレッチのような動きをしたときに、無理な負荷がかかってしまったのかもしれません。日々の生活の中で、知らず知らずのうちに、肩に無理をかけていたようです。

絵を描くときは、長時間、同じ姿勢になりがちです。普段はだいたい午前10時から描き始めて12時まで、昼の休憩を挟んで午後1時から6時まではアトリエに詰めています。展覧会が近づくと制作時間はさらに延び、午前0時近くまで描いていることもあります。

キャンバスに向かうと絵筆を持つ腕を上げたまま、細かな筆づかいを繰り返すので、利き手のある右側に負荷が集中することになります。

巻き肩の傾向もありました。昔から猫背ぎみになるクセがあるので気をつけてはいたものの、それが肩にどう影響するかまでは考えたことがありませんでした。若い頃は、体のどこかに違和感があっても、一晩休めばたいてい回復していたので「私はいくらでも描けるんだ」と過信していました。

でも、年齢とともに疲労が抜けにくくなり、回復にも時間を要するようになってきました。そうした変化が少しずつ蓄積して、あの日、肩が悲鳴を上げたのでしょう。

(構成=渡辺一朗 撮影=徳永 徹)