大きなウソが、歴史を動かすことがある。西郷隆盛を筆頭に、幕末の志士たちがいくつもついた「大ウソ」が、明治維新を成功させたという。
どんなウソが、近代日本をつくりあげたのか。歴史家で作家の加来耕三氏が解説する。

ウソも方便、と人はよく言います。西郷隆盛をはじめとする明治維新の立役者たちも、そうした「方便としてのウソ」をいくつもつきました。正々堂々を旨とするはずの彼らが、なぜウソをついたのか。あるいは、つかねばならなかったのでしょうか。

日本の植民地化を防ぐための決意

今のビジネスパーソンの世代は、「ペリー来航が引き金となって、明治維新への動きが始まった」と習ったはずです。でも、今の歴史学のコンセンサスでは、そこから13年前、1840年に始まったアヘン戦争を明治維新の出発点と考えます。

(構成=三浦愛美 撮影=横溝浩孝 写真=PIXTA)