かねてから、従業員とのコミュニケーションを大切にしてきた菊地さんが心がけたのは「1対マス」ではなく「1対1」の関係を目指すことでした。(2021年10月25日レター)

前回は、コロナ禍の経営危機を脱出したことで、従業員のロイヤリティが戻ってきた話をしました。業績が好調なときから、会社の状況を丁寧に説明し、理解を得てきたことで、従業員との信頼関係の基盤ができていたことが大きいと思います。従業員とのコミュニケーションを心がけてきた理由をお話しましょう。

社長になって始めたのが、従業員向けの「決算説明会」です。投資家向けの決算説明会はどこでも行われていますが、それを従業員向けに開くことにしたのは、私の標榜する「ステークホルダー経営」の一環として考えているからです。従業員もステークホルダーですから、会社の経営状況が、給料や賞与に反映されることや、事業計画のことにも納得感を持ってほしい。

(構成=久保田正志)