宮内庁が小室眞子氏の出産を発表
宮内庁は困惑しているように見える。
何に対してか。
それは、眞子元内親王の出産に対してである。
秋篠宮家を支える「皇嗣職」のトップである宮内庁の吉田尚正皇嗣職大夫が、定例の記者会見で、それを発表したのは5月30日のことだった。
ただし、それよりも前の時点で、アメリカ郊外でベビーカーを押しながら歩いている小室圭・眞子夫妻の写真が週刊誌で報じられており、出産はそれよりもかなり前のことと考えられる。今のところ、出産した日についても、性別についても一切伝えられていない。
男女が結婚すれば、子どもが生まれることはある。もちろん、生まれない場合もあるが、出産は自然なことである。しかし、宮内庁は、そうしたことが起こるとは想定していなかったのではないだろうか。だからこそ、困惑しているように見えるのだ。
戦後、結婚して皇室を離れた女性皇族は、全部で8人いる。内親王は、昭和天皇の四女であった厚子内親王からはじまって総計6人である。ここに、眞子内親王も含まれる。なお、女王は2人である。
こうした皇族女性が結婚する場合、皇室会議の決定を受け、一般の結納にあたる「納采の儀」を行った上、結婚式の日取りを男性の側が告げる「告期の儀」、皇室を離れる女性が宮中三殿で拝礼を行う「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」を経て、「結婚の儀」へと進んでいく。
一連の儀式を行わずに結婚した元内親王
結婚の儀の後には、天皇皇后に拝謁する「朝見の儀」、一般の披露宴にあたる「宮中饗宴の儀」などが待ち受けている。こうした儀式を行った上で、地方自治体の役所に婚姻届を提出する運びとなる。
皇族の場合、一般の戸籍はなく、その身分は皇統譜に記されている。皇籍を離脱すると戸籍が作られ、役所への婚姻届提出も制度上処理される。
多くの場合、こうして皇籍を離れた女性皇族には、皇室経済会議の承認を経て「一時金」が支給されてきた。その金額は、天皇の妹である黒田清子さんの場合は1億5250万円と報じられた。これは皇室経済法と皇室経済施行法に基づく審議により決定されるもので、定額ではない。ちなみに女王の場合は、過去の事例から約70%となることが多い。
眞子元内親王の場合、こうした一連の儀式をまったく行わずに結婚に至っている。しかも、一時金は辞退しているので、それをいっさい受けとっていない。これは、戦後はじめてのケースである。
そこには、メディアで報道された一連の出来事がかかわっている。いったんは婚約が発表されたものの、小室圭氏の母親とその元婚約者との間に金銭問題が生じていると報道されたことで、結婚にまつわる儀式は延期された。しかし、本人たちの意思は堅く、父親である秋篠宮が結婚を認めたことで、二人は結婚にこぎつけ、アメリカで生活するようになったのである。小室氏は、弁護士として順調にキャリアを重ねている。

