長生きするために気をつけるべきことは何か。医師の松生恒夫さんは「ある研究では『便秘あり』の人の生存率が約20%も低くなっていることがわかっている。年齢を重ねると腸の弾力低下を起こして便秘の悩みが出てくるが、小腸や大腸に異常があると、体に必要な栄養分や水分が吸収できないため体が栄養不足になりかねない」という――。
※本稿は、松生恒夫『あなたの腸で長生きできますか?』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
腸の健康と長生きが研究で明らかに
本稿では、腸の健康と寿命について明らかにするとともに、なぜ腸がこれほどまで健康に影響を与えるのか、その秘密について、考えていきたいと思います。
まずは腸の健康と長生きの関係を示す研究を紹介しましょう。
2010年に発表されたこの研究論文は、医師の間で大きな話題となりました。20歳以上のアメリカ人3933例を対象に、便秘がない3311人と便秘が慢性的に生じている622例に分け、15年間、追跡調査をしたものです。
その結果、10年後の時点で、便秘のある人はない人に比べ生存率に12%以上の差が出ました。
さらにその5年後、つまり、追跡をスタートさせてから15年後には「便秘あり」の人の生存率が約20%も低くなっていたのです。
なぜ生存率にこれほど差がついたかについてはさまざまな意見が出ていますが、明らかなのは命に関わる複数の病気について、便秘のある人のほうが、罹患率が高いことがわかっているという点です。

