コメ価格高騰への国の対応は完全に後手に回っている。原因は需給調整をしてきた農政そのものに関わるはずだ。テレビ報道は、どれだけの危機感と問題意識を持って報道したのだろうか――。
浅間山と収穫準備の整った田んぼ
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コメ高騰の根本に迫る気を感じない報道

農林水産省が4月14~20日に全国のスーパーで販売されたコメ5キロ当たりの平均価格は4220円と発表。前週より3円高く16週連続の値上げで、最高値を更新した。前年同期比約2.0倍の高騰。

数字が発表された28日、NHK「ニュース7」は3番目で伝えた。新潟のスーパーが卸業者に問い合わせても「コメの入荷はない」というシーンは、深刻さを物語っていた。2回目の備蓄米放出も出荷は24%。JAが実績のある大手の販売会社にだけ販売するからだ。困窮者の家庭にとっては重要なフードバンクにも行きわたりにくくなっていることにも触れた。全国の卸売業者のうち13社にアンケートを取った結果、「コメの取引状況は改善している」と答えたのは4社。「改善していない」が7社。厳しい状況はわかった。

最後に農業政策が専門の東京大学大学院・安藤光義教授が「(令和)7年産がかなり生産量が増えそうとなると、コメの市場は軟化していくと思うが、高齢化も進み、農家をやめているので、生産が戻ってくるかどうか気になるところ」とコメント。

ニュースはここで終わったが、この内容は疑問が残った。「減反」は2018年に終わっていても、転作補助によって実質「減反」は継続している。コメの生産量が大幅に増えることは考えにくい。そもそも高騰の始まりは、酷暑による実質収穫量の減少と、南海トラフ地震情報の発出によるコメの先買いが、微妙な需給調整のバランスを崩したところから始まっている。それに対して昨年秋、政府が備蓄米を放出しなかったことで価格高騰が常態化したのだ。今後価格が大きく下がることは考えにくい。安藤教授は希望を持たせるような内容を言いつつ、逃げも打っている。そんなコメントを紹介するだけでは何も言っていないに等しい。テレビ朝日「報道ステーション」は、同日だけでなく、29、30の両日ともコメ高騰については触れなかった。

表層をなぞるばかりで本質に届かず

一方、TBSテレビ「news23」は、30日にコメの価格が5キロ5000円台に乗ったところもあることを伝えた。消費の現場ではこの価格が実態に即している。「何やってるの」という街の声を紹介していたが、実感のこもった言葉だった。同番組では、輸入米にもスポットを当て、米カリフォルニア州の広大な農家のコメ生産の様子をレポート。このままいけば、輸入米を大量に入れざるを得なくなることが十分予想される。

これを受けて小川彩佳キャスターが、「国が本気で国民にコメを届けようとしているのか相当に疑問を持ちますし、これで大凶作だったときに、最後の命綱として(中略)食糧安全保障ははたして機能しているのか、疑いを持ちます」と強い調子で怒ってみせた。ただ、なぜそうなっているのか。コメ不足の「構造」を理解できるよう報道してもらいたかった。