今よりもクルマが安くなることはない
【フェル】10年先のクルマはどのように進化すると思いますか。
コラムニスト。1985年大学を卒業。半導体・電子部品関連企業に勤めるかたわら、コラムニストとして活躍中。ダイヤモンド・オンラインにて「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」連載中。『英語だけではダメなのよ。』(日経BP)ほか、著書多数。
【清水】端的にいうとクルマの電脳化と電動化だよね。それまでもセミオートマチックをやるために半導体やソフトウエアを使ったりしていたけど、これからはもっとドラスティックに自動運転的なものまで入ってくる。そうなると産業構造が変わるくらいインパクトがあって、自動車産業は100年に一度の大改革が起きているといっていい。
2016年に、パリサロン(パリモーターショー)で、独・ダイムラーのディーター・ツェッチェCEO(当時)が「CASE」というコンセプトを持ち出したでしょう。コネクト(Connected)、自動運転(Autonomous)、シェアリング(Shared)、エレクトリック(Electric)という意味だけど、ICE(インターナル・コンバッション・エンジン)やハイブリッドなど、日本の自動車メーカーはすでに個別にはやっていて、「何をいまさら」っていう感じで聞いていたと思う。
ただ、ヘンリー・フォードの「T型フォード」から100年続いた自動車づくりが大きく変わることは間違いなくて、トヨタの豊田章男さんも18年のCESで「モビリティカンパニーに変革する」と宣言した。
その動きが始まって約10年。大変革の下準備がようやくできてきて、これから本格的に変わっていくという印象を持っています。
【フェル】僕は今後10年ではそれほどドラスティックに変わらないと考えています。おそらく10年後もエンジンは健在で、今のガソリン車と10年後のガソリン車はほぼ同じ。技術的にはもう突き詰められていて、熱効率が今より10%良くなったりはしないでしょう。
もちろん電脳化や電動化でいろいろオマケはつくようになるとは思います。けど、それはクルマの本質にはあまり関係がないのかなと。
【清水】今までのハイブリッドはエンジンが主で、バッテリー・モーターが従の関係でしたが、この主従関係が変わり、バッテリー・モーターを主とするなら、エンジンの使い方が変わるので、熱効率はさらに向上すると私は考えています。一方で、10年後のクルマというとパワートレインはどれがいいかという話になりがちだけど、クルマの価値はそれだけじゃないからね。たとえば運動性能とか快適性や安全性はもっと期待値が高まるでしょう。
モータージャーナリスト。武蔵工業大学電子通信工学科卒業。81年プロのレースドライバーに。国内外の耐久レースで活躍。88年より本格的なジャーナリスト活動開始。日本自動車ジャーナリスト協会会員。著書に『クルマ安全学のすすめ』『燃料電池とは何か』(NHK出版)。
【フェル】パワートレインでいうと、EV比率は徐々には高まっていくとは思います。ただ、EVは今買うべきものじゃないかなと。現在のEVは初期のパソコンと同じで、毎年スペックが上がっていて、今買ったものよりいいものが数年後には安く買えるようになります。スマホのようにすぐ買い替えるものならいいですが、クルマは耐久財。ある程度長く乗ることを前提にすると、早く買うほど損するおそれがあります。クルマ好きな人でなければ、わざわざ今買って自らモルモットになる必要はありません。
【清水】僕はまさにモルモットでね。クルマじゃないけど、パソコンが一台100万円していたころから買っていたよ。スマホもそう。iPhoneは07年に最初のモデルを買って、そのままモスクワのモーターショーに行ってヨーロッパで2週間何も考えずに使ったら、帰国後、通信料を70万円請求された(笑)。
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