マンション価格の高騰が続いているため、割安感のある築年数の長い中古マンションを買って、リノベーションする人、リノベーション済みのマンションを買う人が増えている。住宅ジャーナリストの山下和之さんは「リノベーション済みの物件を買うのがいいのか、自分でリノベーションするのがいいのか迷う人も多いが、住宅ローンまで含めて比較したほうがいい」という――。
石膏ボードも外されているリノベーション中の室内
写真=iStock.com/zazamaza
※写真はイメージです

リフォームとリノベーション、どこが違うのか

中古マンションを買う場合、ほとんどの人はきれいにリフォームするか、大規模なリノベーションを行ってから入居する。では、リフォームとリノベーションにはどんな違いがあるのだろうか。リノベーションの意味を十分に理解していない人もいるので、その点を明確にしておこう。

まず、リフォームとリノベーションでは工事の規模に違いがある。リフォームは壁紙の張替え、キッチンやバスなどの設備の取換えなどの部分的な工事で、リノベーションは間取りの変更、水道管や排水管の変更など大規模な工事を指す。より大きな規模としては内装や壁、床などを取払い、スケルトンにしてから工事するフルイノベーションもある。

当然、予算にも大きな違いがある。単なる壁紙の交換などであれば、1週間、2週間で済み、予算も数十万円から、100万円、200万円程度に収まるのが一般的だ。それに対して本格的なリノベーションでは、1カ月以上がふつうで、数カ月かかることも珍しくない。予算も数百万円から、1000万円以上かかることがある。

「リノベ済み」「自分でリノベ」はどっちがトクか

基本的な考え方も違っている。リフォームは日本語にすれば改善、改良という意味で、建物をできるだけ新築時に近い状態に戻す作業になる。

リノベーションは修復、刷新であり、既存の建築物を改修して、価値を高めることを目指す。家族の増加、ライフスタイルの変化などに応じて、より暮らしやすい住まいにしようとする作業といっていいだろう。

したがって、リノベーションには高額の予算がかかり、時間もかかるが、その分世界に一つの、自分たちの家族構成、ライフスタイルに合った住まいにすることができる。お仕着せのパターンが多い新築マンションに比べても、唯一無二の住まいになる。

そのリノベーションマンションを手に入れる方法としては、あらかじめ不動産会社やハウスメーカー、工務店などがリノベーションしたマンションを購入する方法と、中古マンションを居抜きで取得して、自分でリノベーションする方法がある。両者にはどんな違いがあるのだろうか。