※本稿は、山下明宏『稼ぐ力は会計で決まる』(幻冬舎)の一部を抜粋・再編集したものです。
このままでは「失われた40年」になってしまう
バブル崩壊後の「失われた10年」が「失われた20年」になり、さらに「失われた30年」と呼ばれるようになって以降も、日本経済はいまだに低迷を続けています。放っておけば、すぐに「失われた40年」になってしまうでしょう。
とくに深刻なのは中小企業の経営状態です。大企業の多くは、ここ数年のあいだ、円安ドル高のおかげもあって大きな利益を上げてきました。新聞の経済面に「過去最高益」という言葉が躍っているのもよく見かけます。しかし日本企業の99.7%を占める中小企業は、相変わらず厳しい状態。大企業との差は過去最大に広がってしまいました。
1986年には533万社もあった日本の中小企業ですが、いまは250万社程度にまで減っています。「スタートアップ」「ベンチャー起業」といった言葉をよく見聞きするので、世の中では新しい会社がどんどん生まれて活気づいているように感じる人も多いかもしれません。
しかし実際には、開業よりも廃業のほうが圧倒的に多かったのです。いまは逆転現象は収まりましたが、これから再び逆転が起きそうな気配です。こんな国は、世界でも珍しいでしょう。
中小企業の借入金が膨らんでいる
日本では、従業者数のおよそ7割が中小企業に雇用されています。大企業がどんなに儲けていても、中小企業が元気にならなければ経済が底上げされることなどありません。
私は「失われた30年」のあいだ、税理士として、多くの中小企業を会計の面からサポートしてきました。個々の経営状態を見れば、もちろん、うまくいっている会社もたくさんあります。しかし全体的には、やはり苦しい。数字を見ると、将来への危機感は募るばかりです。
その危うさをもっとも端的に物語っているのは、中小企業の借入金が膨らんでいること。私の事務所も所属している税理士・会計士のネットワーク「TKC」のデータによると、中小企業の長期・短期の借入金は、平均でおよそ1億2000万円になっています。
それに対して、手元の現預金は平均でおよそ6000万円しかありません。もし金融機関が急に融資先からの貸し剝がしを始めたら、現預金がゼロになって6000万円の借金だけが残る計算です。

