老後の収支のバランスはどう変化するのか
高齢化が進む中、政府が示した「老後2000万円問題」が波紋を広げ、人生後半の不安を募らせる中高年が増えています。最近では物価高騰、医療費の自己負担増加といった影響で、「貯蓄が2000万円では足りない。3000万円以上必要」といった論調も目立つようになりました。
一方、冷静にデータを見れば、日本の高齢者の生活が破綻するリスクは、将来的にも極めて小さいことがわかります。具体的には、働ける期間に毎月10万円程度の収入があれば、高齢者が家計を維持していくことは可能です。ここでは、ビジネスパーソンの定年後、本当に必要な人生プランについて、ご説明します。
まずは、統計データに基づいて、現在のシニア層の生活や収入の実態を把握してみましょう。
まず、シニア層の雇用者の収入を見ると、その大半が年収約300万円以下です。現役世代に比べて、収入が下落していることは否めませんが、日常生活に困るほどの水準ではありません。貯蓄を多少取り崩すことはあっても、当面は暮らしていける水準です。
総務省の2024年の家計調査によれば、世帯主が65歳以上の無職で、2人以上の世帯の1カ月当たり平均実収入は26万6329円でした。収入の内訳を見ると、公的年金をはじめとする社会保障給付が21万1529円と、約8割を占めていました。
そのほかの収入は、確定拠出年金を含む民間保険金などですが、60代中盤以降は公的年金の受け取りが始まることもあって、収入が比較的に安定しているわけです。1カ月当たりの平均実収入を世帯主の年齢層別に見ると、65〜69歳では30万7741円、70〜74歳では27万5420円、75歳以上では25万2506円でした。
それに対して、2人以上の世帯のうち、勤労者世帯(平均世帯人員3.23人、平均有業人員1.81人、世帯主の平均年齢50.5歳)の1カ月当たり平均実収入は63万6155円でした。
このように現役世代に比べると、仕事を持たない高齢者世帯の収入はかなり少ないです。ただ、定年後は支出も大幅に減るので、家計収支はそれほどアンバランスにはなりません。
年齢が上がるほど消費支出が減少するワケ
世帯主が65歳以上の無職で、2人以上の世帯の1カ月当たり平均消費支出は25万9295円で、世帯主の年齢層別に見ると、65〜69歳では31万1281円と最も多く、70〜74歳では26万9015円、75歳以上では24万2840円と、年齢階級が上がるにつれて、減少傾向となっているのです。
2人以上の世帯のうち、勤労者世帯について、世帯主の年齢層別に24年の消費支出を見てみると、40歳未満が28万544円、40〜49歳が33万1526円、50〜59歳が35万9951円と、年齢が上昇するのとパラレルに増加傾向になっています。ところが、60歳以上になると、30万8660円と減少に転じています。それは、どうしてなのでしょうか。
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