(PIXTA=写真)

嫉妬を野放しにしているのは、自分の生きる喜びを減らしてしまうものだと知ることも大切です。嫉妬心が強いと、周囲の人が成功するたびに嫌な気持ちになり、自分自身が苦しむことになります。また、嫉妬が高じて成功した人の悪口を言いたくなり、その結果、周囲から敬遠されることにもなってしまうのです。

嫉妬でムカムカしている本人とは違い、周囲は冷静で、成功者の悪口を言っている人に対しては「自分がうまくいっていないことの腹いせに、他人を貶めようとする人」という評価を下します。嫉妬から悪口を言うことは、結局自分で自分を貶めることになるのです。

このように、他人に嫉妬することは自分を不幸にするだけのこと。それを自覚すれば、嫉妬を感じそうになったときに別のアプローチが生まれてきます。たとえば、自分より早く出世した同期に思い切って上等なプレゼントをあげてみるのもいいでしょう。

それにより、「自分は嫉妬という感情を乗り越えることができた」という自己克服感が生まれます。

ブッダの言葉

他人の良くないところは
とてもよく見えるし、
調子にのって指摘したくもなる。
見えにくいのは、
君自身の良くないところ。
他人の問題点を指摘することで、
「ちゃんと指摘できる
立派な自分には問題がない」と
錯覚するがゆえに、
自分自身の問題点が
隠されてしまう。それはまるで、
ギャンブルでサイコロを振って、
自分に不利な目が出たら
イカサマして隠してしまう
ギャンブラーのよう。

(法句経252)*『超訳 ブッダの言葉』125

※記事中「ブッダの言葉」は、すべて小池龍之介編訳『超訳 ブッダの言葉』(ディスカヴァー刊)による。

月読寺住職・正現寺住職 小池龍之介
1978年生まれ。東京大学教養学部卒。2003年、ウェブサイト「家出空間」を開設。現在は「正現寺」と「月読寺」(東京・世田谷)を往復しながら、自身の修行と一般向けに瞑想指導を続けている。『考えない練習』など著書多数。
(構成=岩原和子 撮影=向井 渉 写真=PIXTA)
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