「上司が評価してくれない」「やりがいが見出せない」「気持ちが安らがない」……。2500年前の教えをもとに気鋭の僧侶が古くて新しい悩みに答える。

過去や未来ではなく「いま」に専念を

●給料は現状維持。給料以外、何を励みに働けばいいのか。
●目標の見つけ方がわからず、やる気が起きない。
●仕事がつまらない。自分に合っていないのではと思う。

「かけがえのない自分」への執着は、「そんな自分にふさわしいことを成し遂げたい」という欲望をも生み出します。そうした「やりがい」のために「励み」や「目標」が欲しくなり、「こんなつまらない仕事は自分に合っていないのでは」と思ってしまう。これらのケースもまた、欲望から生じる悩みです。

現代人は「他人にはできない特別なこと」をするのが「やりがい」であると思い込まされているように見受けられます。そうした「自我を刺激する特別性」を重視すること、また「やりがいがなければ」という価値観そのものが、暮らしが豊かになったごく近代になって認識され出したものです。昔の農民はたんに食べるため、生きるために働いていましたし、戦後もしばらくはともかくがむしゃらに頑張ることが重要でした。